アダムとイブは実在したのか?
今回は聖書などでお馴染みのアダムとイブについて科学の視点を交えつつ解説していきたいと思います。
■ゲノム解析から得られるY染色体アダム
ゲノム解析において男系のY染色体は男系にしか遺伝されないという事でかなり正確にそのY染色体のルーツを辿ってくことができます。
結論から申し上げますとY染色体アダムという今の全ての男性が一つのY染色体に集約できると過程されているのが約20-30万年ほど前の一人の男性です。
全ての男性はこの約20-30万年前の一人のY染色体アダムと呼ばれる男性から派生したとされる説などの仮説の検証が今も進められています。
こちらはWikiのY染色体アダムの項目をご覧になっていただきたいのですが様々な遺伝変異を行いながら世界中に人類の男性が散らばっていったという様な痕跡も辿ることができます。
このY染色体アダムは聖書なで記載があるアダムなのでしょうか?
ここではY染色体は偶然に数万年周期で滅びていくY染色体のうち、偶然に子孫を今まで残せた始祖という見方ができるのですが人類もその時代時代によって力関係が変わる中で特別に優れた男性がいたというわけではなくただ偶然に子孫をつなげることができたのがY染色体アダムとなります。
ここで聖書の記述のアダムとY染色体アダムを結びつけるのはあくまでフィクションとして面白いということですが男性にせよ女性にせよダーウィンの進化論の適者生存によって生き残ることが出来て現代まで子孫を繋いでいるという確率は祖先に遡れば遡ると多くの子孫がいてその系統は限定的になるとという様な過程が成り立ちます。
ここで聖書のアダムとの結びつきではあるにせよないにせよ人類もより祖先に遡れば遡るほど適者生存の原則の確率が集約されていき限りなく少ない遺伝子に特定していくことが言えます。
■イブの存在はどうなのか?
ゲノム解析ではX染色体が男性も持っていることから女系人類の始祖を正確に過程することは基本的にできません。
そこでイブの存在については別の視点からの解析になってきます。
細胞核には細胞核というヒトゲノムが収まっている部位とは別にミトコンドリアという生き物が細胞核と共生関係を築いています。
このミトコンドリアは稀に男性から遺伝するのですが基本的には全て女系の母親から受け継ぐ形で遺伝子続けます。
そこでこのミトコンドリアにもゲノムがあるのですがこのミトコンドリアゲノムを解析することで女系がどの様な形で伝播していったかをある程度は推測できます。
ミトコンドリアは生殖活動によってDNAが変化することはなく母親から子供へ突然変異をのぞいて全て同じ形で遺伝していきます。
ここでゲノム解析を行ったところミトコンドリアの系統にはアフリカの多くの人とアフリカの一部の人と他の全ての民族からなる2人の系統で構成で人類の構成は出来上がっているということがわかってきました。
つまりはアフリカ系統のミトコンドリアイブとアフリカの一部の系統と全ての民族からなる2系統のミトコンドリアイブがいることがゲノム解析の結果でした。
このミトコンドリアイブは最終的には一人の女性にたどり着くのですがこれが16万年±4万年前の一人の女性ということが言われています。
このミトコンドリアイブは一つの注意点としてもしその母親に女の子が生まれなかったらミトコンドリアはその子孫を残すことができずそこで途絶えてしまうということで必ずしも正確に人類の女系始祖を言い当てられるものではないのですがこのミトコンドリアイブはかなり注目される仮説と呼べます。
■聖書が記述したアダム
シュメール王年表というメソポタミア文明の王の記録を残した石版が存在しているのですがここには有名なギルガメシュなどの名前もあり人類最古の石碑として研究の対象になっています。
ここでシュメール王年表には大洪水以前と大洪水以降の王の記録があるのですが大洪水以前の王は異常に在位期間が長くその初代ともなるとすでに人か猿人かという区別さえわからなくなってきます。
ここで初代王のエリドゥ王アルリムに注目しますがこのエリドゥというのはいわゆる超古代の都市国家でそこの王がアルリムとなります。
そしてこのアルリムですがエリドゥの高位神エアが生み出した七人の賢人のうちアダパから派生したという様な説がありこのアダパがキリストの時代にユダヤ語風に訛ってアダムとなったという様な説があります。
そしてこのエリドゥという都市に注目しますがその考古学歴な検証からバベルの塔のオリジナルではないか?という様なことが言われています。
つまりこの仮説に基づくとアダムはバビロニアの塔の七人の賢人のうちの一人から選ばれたバベルの塔の王ということになります。
こおエリドゥは放射性年代測定などから紀元前5900年ごろから建設が始められたと言われその時期に統治した王がアルリムということになればアダムは紀元前5900年前後の人物となります。
ここでエリドゥ王アルリム今から約8000年前の人物でY染色体アダムは20万年ですからY染色体アダムとはちょっと時代が合わなくなっておりY染色体アダムと聖書の記載のアダムは別人のY染色体アダムが遥かな祖先ということになります。
こちらはどちらかというとY染色体アダムはホモ・サピエンス誕生の祖であるということが挙げられます。
ここでエリドゥはウバイド文化という時代にあたりさらに先史になると中石器時代のナトゥーフ時代などでの世界最古の都市と呼ばれるイェリコが約紀元前12500年前でそれ以前の石器時代になると文字も都市ももう持たないという様な形になり痕跡はもはや不明になります。
聖書ではこの記載のうちにモチーフになったのがもしエリドゥ王アルリムだとしたらある程度聖書は都市国家と神と人という宗教の起源とも言える概念が出来上がり神殿であったバベルの塔など築かれた最初の王を示しているということになります。
ですのでキリスト教の聖書のアダムは忠実に神と人との対峙を記した神と人の仲人という宗教の原則に則っているわけです。
■最後に
今回はここまでにしておきますがまた新たな説や著述などを目にした際には随時記載していきます。
最後にアダムとイブはある程度絞り込めるし人が存在している以上その存在もむしろ実在しなかった方が不思議なぐらいの人物ですのでアダムはかなり一人から数人に絞り込めますしイブもある程度のグループに絞り込むことはできます。
以上ですがこの著述が考古学、生物学、人の歴史、宗教の歴史などなどの他様々な学問への関心などにつながれば幸いです。
人の存在とそれに関わる全てはとても面白い事実が隠されているものです。